むし歯 cavities
むし歯は早期発見で
初期の対処がカギ!
歯を大切にして
快適な生活を送りましょう
なぜ歯は大切なの?
皮膚や髪の毛など異なり、歯は1度削る、抜くなどの治療を行えば、自然に元に戻ることはありません。
歯を失えば、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどで補うことができますが、ご自身の歯のような噛み心地や耐久性、見た目は完全に再現できるものはありません。
食べ物を噛む、きれいな発音、表情を豊かにする、強く噛みしめて瞬発力を生み出すなど、歯があることは生きる上でとても重要なのです。
どうしてむし歯ができるの?
「むし歯の細菌(ミュータンス菌)」「糖分」「歯の質」「時間」の条件がそろうと、むし歯リスクが高くなります。
じつは、お口の中に菌がいるだけではむし歯にはなりません。
むし歯細菌であるミュータンス菌は、おやつなど甘い食べ物に含まれる「糖質」をエサにして増殖します。
そしてミュータンス菌は、糖を分解する際に酸を出し、歯を溶かしてしまうのです。このとき、酸に溶けやすい「歯の質」だと、むし歯の進行が早くなります。また、だらだらと食事するなど「時間」によってお口の中がミュータンス菌が働きやすい環境にしてしまうのです。
歯質について
生まれつき歯の強さや唾液の分泌量など、お口の中の環境は人それぞれ異なり、歯質(エナメル質・象牙質)も個人差があります。
強くて丈夫な歯に育てるには、歯を構成するもととなる「タンパク質」、歯の石灰化に欠かせない「カルシウム」「マグネシウム」を日頃から摂取するように心がけましょう。歯はもちろん、骨を丈夫に育てることにもつながります。これらを効率的に取り込むためには、ビタミンA・C・Dなどの栄養素を一緒に摂取するのがおすすめです。ビタミンDは日光を1日15〜30分浴びることで体内で作られます。
歯質を強くする育てる栄養が多い食品
タンパク質
(歯の基礎を作る栄養素)
肉、卵、牛乳やチーズなどの乳製品、大豆製品、魚などカルシウム
(歯が硬くて強くなる石灰化のために必要)
牛乳やチーズなどの乳製品、桜えび、小松菜、小魚などマグネシウム
(歯にカルシウムが行き渡るように調整して、形成する)
ひじき、わかめ、大豆製品、玄米、ナッツ、バナナビタミンA
(歯の表面のエナメル質の土台を仕上げる)
牛・豚・鶏レバー、うなぎ、にんじん、ほうれん草などビタミンC
(歯の内部(象牙質)の土台を仕上げる)
柑橘系の果物、下記、いちご、キウイなどビタミンD
(カルシウムの代謝や石灰化の調整役)
鮭、しらす、干しシイタケ、あん肝、きくらげ、卵黄など
むし歯の進行と
自覚症状・治療法
C0初期のむし歯
初期のむし歯は、歯の表面が溶かされ、光沢がなくなり白く濁って見えます。これを「ホワイトスポット」といいます。
歯を削る治療ではなく、歯が持つ再石灰化の働きにより、溶けた部分を治すことが可能です。
自覚症状:痛みなどの自覚症状はないです。
治 療:フッ素配合の歯みがき粉を積極的に使用して、歯科医院で定期的にフッ素塗布をしましょう。
C1エナメル質のむし歯
歯の表面のエナメル質まで溶けた状態です。黄色や茶色っぽい変色や小さな黒ずみがありますが、自分では気が付きにくく歯科検診などで発見されることが多いです。
自覚症状:痛みやしみるなどの症状はほとんどありません。
治 療:むし歯の部分を削り、削った部分に歯科用プラスチックなどの白い詰め物をします。
C2象牙質まで進行したむし歯
エナメル質のさらに奥の象牙質まで進行した状態です。穴が開いて黒いため見た目でも分かります。
自覚症状:冷たい物や甘い物がしみて痛みを感じます。
治 療:むし歯のの部分を削り、歯の型取りをします。金属やセラミックなどの詰め物や被せ物を装着します。
C3神経まで進行したむし歯
象牙質のさらに奥の神経(歯髄)までむし歯が進行した状態です。
自覚症状:冷たい物や温かいものに強い痛みを感じます。何もしていなくてもズキズキと痛みを感じ、炎症で頬が赤く腫れることもあります。
治 療:歯を抜かずに保存できる状態であれば、神経を取り除き、根っこの管を清掃する根管治療を行います。その後、土台を立てて型取りを行い、金属やセラミックなどの被せ物を装着します。
ただし、歯の保存が難しい場合は、歯を抜かなくてはなりません。
C4歯根だけが残ったむし歯
歯の頭の部分(歯冠部)が溶けきり、歯の根だけが残った状態です。
自覚症状:神経が死んでしまうと、痛みは感じなくなります。ただし、放置すると歯の根っこの先に膿がたまる、顎の骨まで感染が拡大して骨髄炎を起こして発熱するなど全身の健康にも悪影響を及ぼす危険があります。
治 療:歯を保存することは難しいです。歯を抜いて入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの人工歯で補います。
むし歯から歯を守ろう
~定期検診とメンテナンス~
これまでの歯科医院は「お口にトラブルがあってから行く場所」というイメージですが、これからの時代は「歯やお口を病気から守るために定期検診に行く場所」という考えがスタンダードになってきています。
たとえば、むし歯ができると、歯を削らなくてはなりません。しかし歯は、1度でも削ってしまうと脆くなり、むし歯の再発リスクが高くなります。何度も削ることを繰り返していると、しまいには歯を抜かざるを得なくなるのです。
このような悪循環に陥らないためにも、定期検診でむし歯の早期発見をしましょう。万が一、発見されても、初期の段階であれば通院期間・治療費も減らせ、大切な歯を失わずにすみます。特に、初期のむし歯は自覚症状がないため、プロの目で診てもらうのは重要なことです。
お口のトラブルが起きる前に予防ケアに通うことは、ご自身の健康、大切な歯を守るための「運命のカギ」といえるでしょう。